biblio Leaf SP02に見る絶対ブレないブックリーダー選択法

KDDIが世に送り出したブックリーダー「biblio Leaf SP02」は、紙に近い表示特性を持つ電子ペーパーを採用し、さらに国内では唯一となるCDMA通信と無線LANに両対応したことで、使い勝手のよい電子書籍専用端末に仕上がっている。本稿では、同端末の特徴を確認しながら、製品選択のポイントを考えていこう。

» 2011年02月21日 10時00分 公開
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 “電子書籍元年”と呼ばれた2010年の国内電子書籍市場。専用/汎用を問わず数多くの端末が登場し、それに同調するように電子書籍ストアも各社が一斉にサービスインした。

 急激に盛り上がった電子書籍市場に対しては、一部の先進的なユーザー層だけではなく、それまで興味を持っていなかったユーザー層も次第に目を向けつつある。しかし、あまりに急速に盛り上がったために、市場にはそれぞれ特徴の異なる多くの製品やストアがほぼ同時期に登場し、製品選択のポイントが分かりにくくなっているという側面もある。

 そんな中、KDDIが2010年末に発売した電子書籍“専用”端末「biblio Leaf SP02」は、専用端末らしく、ツボを押さえた仕上がりとなっている。本稿では、同端末の特徴を確認しながら、製品選択のポイントを考えていこう。

6型電子ペーパーは読書に最適

biblio Leaf SP02 biblio Leaf SP02。搭載している電子ペーパーは米E Ink製の電気泳動方式。付属のカバーは厚手の人工皮革だが、質感はよい

 biblio Leaf SP02の本体サイズは約129(幅)×198(奥行き)×9.8(厚さ)ミリ、重量は約282グラム。同端末の製造を手掛けたのは、電子ペーパーを採用した電子書籍端末の製造で実績のある台湾のFoxconnで、ポケットに入れて持ち歩くには少し大きいが、6型(600×800ドット、167ppi)の電子ペーパーを搭載する端末としては標準的なサイズと重さだ。

 電子ペーパーとは、バックライトを使用せず、反射光を利用して表示を行うディスプレイ。液晶と比べ、広い視野角と紙と比べても見劣りしない表示品質が得られるのが特徴で、液晶のように画面が発光するわけではないので、総じて目が疲れにくく、液晶が苦手とする直射日光下でも視認性が落ちることはない。

 また、電子ペーパーはその特性上、画面の保持には電力をほとんど消費しない。主に電力を消費するのは画面書き換え時で、それもごくわずかという省電力設計だ。電子ペーパーを搭載した電子書籍端末のバッテリー駆動時間がページめくり回数で示されることが多いのはこうした特性によるものだが、いずれにせよ、液晶と比べてバッテリー駆動時間が極めて長いという特徴を持つ。

 biblio Leaf SP02の場合は、フル充電の状態から連続で約1万3000ページのページ送りが可能で、例えば1日1冊300ページ程度の書籍を読むとすれば、1カ月以上は充電なしで動作するということになる。通信機能などの消費電力を考慮しても、1週間程度は充電なしで済む。しかも、biblio Leaf SP02は本体下部に補助充電用のソーラーパネルを搭載しており、液晶を搭載した端末と比べると、充電の煩わしさはない。

 電子ペーパーは、活字中心のコンテンツに対しては最適なディスプレイだが、気になるのはbiblio Leaf SP02での読みやすさだ。一般的に画面の書き換えがややゆっくり行われるのが電子ペーパーの特性だが、本機も例外ではない。とはいえ、可読性が大きく損なわれるわけではなく、視認性は高い。

 また、フォントはモリサワのゴシック体(新ゴR)と明朝体(リュウミン)の2種類が用意され、フォントサイズは6段階から選択できる(本体右のボタンで簡単に切り替えられる)。このほかルビの有無や縦書き/横書きの切り替えなどが行えるので、自分に合った表示を追求していくことができる。

同一の電子書籍を縦書きと横書きで表示させたところ。自分に合った環境で読めるのがよい
文字フォントやサイズ、ルビの表示設定など表示に関する設定項目はひととおりそろっており、必要十分といった印象だ。ただし、自分でスキャンしたPDFファイルなどについては、こうした設定は行えない

 本体右側面には専用のEMR(電磁誘導方式)スライタスが付属しており、操作はこのスライタスによるタッチ操作か、本体下部のボタン類で行うことになる。ちなみに電磁誘導方式のため、タッチ操作は指などで行えず、ページめくりなどは専用のボタンで行うのが楽だ。

本体底面にはリセットスイッチやヘッドフォン端子、microSDスロット、microUSB端子が並ぶ。今後、オーディオブックなどの提供も予想される(写真=左)/本体右側面には文字サイズを変更するためのボタンが用意されている(写真=右)

ホーム画面は、「ライブラリ」「LISMO Book Store」「ツール」「設定」の4項目で構成されている

 本体には約2Gバイトの内蔵メモリが搭載されており、そのうちシステム領域として500Mバイトほど占有している。ユーザーが利用できるのは約1.5Gバイトということになるが、電子書籍1冊あたり500Kバイトと見積もれば、約3000冊という十分な数の書籍をこれ1台で持ち歩くことができる。さらに、外部メモリとしてmicroSDカードが利用可能なので、容量で困ることはないだろう。

 また、電子書籍専用端末というと、操作が難しそうなイメージがあるが、biblio Leaf SP02のホーム画面は、「ライブラリ」「LISMO Book Store」「ツール」「設定」という4つのシンプルな項目で構成されており、誰でも迷わず使うことができる。

 ライブラリでは、内蔵メモリまたはmicroSDカードに格納した電子書籍が確認できる。XMDFのほか、PDF、EPUBといったファイルフォーマットに対応しており、さらに、著作権の切れた文学作品などをWeb上で公開している「青空文庫」から100作品がプリインストールされている。なお、後述する電子書籍ストア「LISMO Book Store」では青空文庫のコンテンツ約2000作品が無料で用意されている。

 ツールには、「メモ帳」「イラスト」「カレンダー」「電卓」といったミニアプリが並ぶ。メモ帳やイラストはスライタスを使って操作するので、ちょっとしたノート代わりに使うことができる。

ライブラリの画面(写真=左)とツールの画面(写真=右)。ライブラリは自分の本棚のようなものと考えればよい。フォルダを作成してグループ分けすることなども容易に行える

現時点で国内唯一のCDMA通信対応機種

 2010年後半から国内市場に数多く登場し始めた同種の電子書籍専用端末に対するbiblio Leaf SP02の強みとして、携帯電話網を利用したCDMA通信を利用することで、PCを介さずに電子書籍や雑誌記事を購入(ダウンロード)できる点が挙げられる。現在国内で販売されている電子書籍専用端末でこの機能を備えているのはbiblio Leaf SP02のみだ。

 このCDMA通信は後述するLISMO Book Storeとの通信以外には利用できないが、CDMA通信を利用できることは、想像以上に端末の利便性を向上させる。例えば、実際の書店に足を運び、お目当ての書籍がお取り寄せということになったら、誰しも少し残念に思うだろう。電子書籍の場合は、基本的にはお取り寄せという概念がないが、電子書籍ストアへのアクセスがある限定された環境下――例えば無線LAN環境――でのみ可能というものでは、欲しいときにすぐ購入することができない。まして、端末から直接購入できないのなら、大多数の人には紙より煩わしく感じられるだろう。公衆無線LANサービスやモバイルWi-Fiルーターと併用するという手もあるが、誰もがそうした環境を利用できるわけではない。

 biblio Leaf SP02は通信機能として無線LAN(IEEE802.11 b/g/n)も備えているが、CDMA通信との排他利用で、かつ手動での切り替えとなるため、無線LANの利用頻度は低い。実際、1週間ほどbiblio Leaf SP02を使ってみての印象では、あえて無線LANを利用する必然性をさほど感じなかったというのが正直なところだ。

 CDMA通信を利用するため、biblio Leaf SP02は本体の購入価格だけでなく、毎月の通信料が発生する。料金は、「誰でも割シングル(特定機器)」*を適用した場合、月525円と手ごろな価格だ(割引サービスを利用しない場合は月額1575円)。端末の実売価格は1万5000円程度(新規契約時)で、誰でも割シングル(特定機器)は契約期間が2年間(24カ月)となっているので、トータルコストで考えれば電子ペーパーを採用した(3G通信機能を備えていない)ほかの電子書籍専用端末とほぼ同額となる。

業界の常識を打ち破る「LISMO Book Store」

 ここまで電子書籍専用端末としてのbiblio Leaf SP02について見てきたが、電子書籍専用端末を語る上では電子書籍ストアの存在が欠かせない。むしろ、端末がいかにすばらしいできであっても、電子書籍ストアが充実していなければ、自分でスキャンしたいわゆる「自炊」コンテンツを読むことなどがメインとなり、せっかくの電子書籍を堪能できないということも往々にして起こる。

 biblio Leaf SP02では、KDDIが運営する電子書籍ストア「LISMO Book Store」が利用できる。同ストアは、KDDIがソニーや凸版印刷、朝日新聞社とともに立ち上げた「ブックリスタ」からコンテンツの提供を受けており、小説やビジネス書、実用書を中心に話題作からロングセラーまで網羅しているほか、「週刊朝日」「AERA」といった朝日新聞の週刊誌二誌が記事単位で販売開始されている。コンテンツのフォーマットはXMDFが採用されている。

LISMO Book Store LISMO Book Store。写真左はPC Webサイト。右がbiblio Leaf SP02からアクセスしたときのもの。タッチ操作でお目当ての本を見つけていこう

 しかも、LISMO Book Storeでは2011年3月末までの期間限定ながら、書籍の大半が半額で提供されている。一般に、電子書籍の価格は紙の書籍と比べて2割から3割程度安価に設定されることが多いが、同一タイトルがどこかの電子書籍ストアだけ極端に安いということはない。しかし、LISMO Book Storeでは半額で販売するという大盤振る舞いだ。

各電子書籍にはお試し版が用意されているので、購入前にこちらを読むのもよいだろう。購入はauかんたん決済のほか、クレジットカードでの決済も可能。コンテンツ購入代金の3%をポイントバックするポイントプログラムも用意されている

 例えば、幻冬舎から刊行されている吉田修一氏の人気小説「パレード」は、文庫が560円、一般的な電子書籍ストアでは470円前後で販売されているが、LISMO Book Storeでは236円だ。ほかの電子書籍ストアを見回しても、こうした半額キャンペーンを展開しているのはLISMO Book Storeだけで、電子書籍に初めて触れる人でも気軽に購入できる。

 また、電子書籍を購入する際の煩わしさが少ないことも見逃せない。電子書籍ストアから電子書籍を購入する場合、そのサイトに登録し、クレジットカード番号や口座情報などを登録する必要があることが多い。しかし、LISMO Book Storeでは、KDDIが提供している「au one-ID」を利用して、電子書籍の購入代金を月々の携帯料金や固定回線の利用料と合算して支払うことができる「auかんたん決済」を利用できる。「EZweb」と同様の利便性を電子書籍の世界でも実現した格好だが、1冊、もう1冊と本を購入したくなる手軽さだ。


 以上をまとめると、現時点における電子書籍端末を選ぶ際のポイントは、「欲しいときにすぐ電子書籍を購入できるか」「利用できる電子書籍ストアの充実度」の大きく2点に集約でき、そこからさらに閲覧のスタイルに合わせて液晶か電子ペーパーかといったハードウェアを選択していくのが望ましいといえる。要は木を見て森を見ずの製品選択ではなく、総合的に判断すべきということだ。

 そうした意味では、biblio Leaf SP02はうまくツボを押さえた製品だということができる。あなただけではなく、あなたの両親などに贈っても、自然な形で電子書籍に触れる機会を創出してくれることになるだろう。電子書籍との生活は、すでに始まっているのだ。

※「誰でも割シングル (特定機器)」は2年間を契約期間とします。途中解約の場合、契約解除料として9975円(税込み)が掛かります。詳しくはこちら

※掲載の画面はすべてイメージです。



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提供:KDDI株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia eBook USER 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月20日