コラム
» 2011年02月15日 15時05分 UPDATE

絶版状態の著書を電子出版したいときに出版社と交渉する方法

電子書籍市場の高まりを受けて、自身の著書を電子書籍化したいと考える方は少なくないだろう。では、実際にどのようにすればよいのか。オルタナティブブロガーの高橋氏がその方法を紹介する。

[高橋誠,ITmedia]

(当記事はブログ「点をつなぐ」から一部編集の上、転載したものです。エントリーはこちら

 前回に続いて電子出版の話です。今回は、自分の著書が絶版状態になっていても、出版社との出版契約が続いている場合に、どうすれば自分で電子出版することができるのか、その方法について書いてみたいと思います。

 本を出版するときには出版契約書を結びますが、多くの場合、以下のような内容が入っています。

第○条(電子的使用)甲(著者)は、本著作物の全部または相当の部分を、あらゆる電子媒体により発行し、もしくは公衆送信することに関し、第一次選択優先権を乙(出版社)に許可するものとする。具体的に条件については甲乙協議のうえ決定する。

2.前項の規定にかかわらず、甲が本著作物の全部または相当の部分を公衆へ送信しようとする場合は、あらかじめ乙に通知し、甲乙協議のうえ取扱いを決定する。

第○条(契約の有効期間)この契約の有効期間は、契約の日から初版発行の日まで、および初版発行後満3カ年間とする。

第○条(契約の自動更新)この契約は、期間満了の3カ月前までに甲側・乙側いずれかから文書をもって終了する旨の通知がないときは、この契約と同一条件で自動的に更新され、有効期間を3カ年ずつ延長する。


 この契約により、本が出版されてしばらく経って、絶版や品切れ重版未定という事実上の絶版状態になっていたとしても、契約の有効期間が切れる前に、契約終了の旨の文書を出してなければ自動的に契約が続くことになります。この場合、自分で電子出版したくても、出版社に相談しないといけないことになります。

 ここで、出版社がすぐに同意してくれればよいのですが、その出版社自体が電子出版する可能性を盾に話し合いが進展しなかったり、出版社側で電子出版するという話になっても、著者にとっては条件が悪かったりということがあります。あるいは、著者側で出すなら版代を出してくださいといわれたりすることもあります。わたしも自分が出版プロデュースした本に関して、実際に出版社に問い合わせてみて、なかなか話が進まないので、何とかできないかと思って少し調べてみたところ、著作権法の中に以下のような条文を見つけました。

(出版の義務)

第八十一条 出版権者は、その出版権の目的である著作物につき次に掲げる義務を負う。ただし、設定行為に別段の定めがある場合は、この限りでない。

一 複製権者からその著作物を複製するために必要な原稿その他の原品又はこれに相当する物の引渡しを受けた日から六月以内に当該著作物を出版する義務

二 当該著作物を慣行に従い継続して出版する義務

(出版権の消滅の請求)

第八十四条 出版権者が第八十一条第一号の義務に違反したときは、複製権者は、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。

2 出版権者が第八十一条第二号の義務に違反した場合において、複製権者が三月以上の期間を定めてその履行を催告したにもかかわらず、その期間内にその履行がされないときは、複製権者は、出版権者に通知してその出版権を消滅させることができる。


 つまり、出版社に継続して出版する義務があるので、絶版や品切れ重版未定で、書店で本が手に入らない状態になっている場合、3カ月以内に本屋で手に入る状態にしてくれるように依頼しても重版してもらえなかった場合は、出版権を消滅させることができるというものです。

 このことが分かって、出版社に本を重版してもらえないなら契約を終了させますと連絡したら、すぐに電子書籍化の許諾がもらえました。また、別の出版社では、将来的に自社でも電子出版できる可能性は残しておきたいから、出版契約は継続して、電子出版に関する内容だけ変更する形にしましょうという話になりました。

 以上から、絶版状態になっている自分の著書を電子出版したい場合は、著作権法を基に出版社と交渉してみるのも1つのやり方だと思います。電子出版をするのであれば、自分で主導権を持って進めた方が結果を出せる可能性が高いですし。もちろん出版社との関係を良好に保ちたいから出版社にまかせるというのも1つの選択でしょう。

 わたしは、法律の専門家ではないため、上述の著作権法に対する理解が正しいかどうかは断言できないので、もし間違っているようでしたら、ぜひ教えていただければと思います。

 電子出版は、絶版書籍を復活させたり、これまで少部数しか出せなかった内容の濃い専門書などを出したりするのに適したプラットフォームだと思っています。著者自らが積極的に電子出版することが出版文化の活性化につながると思うので、ぜひ多くの方々にチャレンジしていただけたらと思います。

著者プロフィール:高橋 誠 (たかはし まこと)

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年表(自分史)創造コミュニティー「Histy」と、社会貢献型クイズサイト「eQuiz」を運営する株式会社スマイルメディアの代表取締役。ネットや出版などの企画、編集、制作、運営、コンサルティングを手がけるメディアプロデューサー。文系中年男でもやり方次第でネットベンチャーで成功できることを証明しようと悪戦苦闘中。自己分析、自己PRのツールとしての自分史の魅力、活用法を広めようと、「自分史で日本を元気に!」を合い言葉に、仲間と一般社団法人自分史活用推進協議会を設立して活動中。オルタナティブ ブログ「点をつなぐ


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