最初は「自炊」の方法だ。自炊のメリットは、何といっても書籍があれば電子書籍が作れるということ。日本語を扱える電子書籍端末が一気に増えたものの、コンテンツはいまだに電子化されていないものも多い。自炊なら、物理的に破損してしまうものの、雑誌、新書、書籍など何でも電子版が手に入る。
一般的な(?)自炊方法としては、以前、山口真弘さんが書いた記事がまとまっているのでそちらを参考にしてほしい。
機材としては、PC以外にプラスの裁断機「PK-513L」(Amazon.co.jpでの価格は3万1000円)とPFUの「ScanSnap S1500」(直販価格は4万9800円)などのドキュメントスキャナが必要になるので、初期投資は少し高めだ。ただ、数多くの書籍を取り込もうと思えば、両者をそろえておくべきである。一瞬で本を裁断できるうえ、紙づまりも少なく連続でスキャンできるため、作業がかなり楽になるからだ。
機材さえそろえれば、あとは本の背を裁断して、スキャンするだけ。慣れれば1冊当たり5〜15分程度で次々と取り込んでいける。ここではReaderでの読書を前提にした5つのポイントをまとめておこう。
Readerで読むために自炊するなら、文庫本のみにしておいた方が無難だ。Reader Storeなどで購入した通常の電子書籍はテキストデータで提供されるため、Reader側で本文の表示サイズを変えられる。しかし、自炊した場合は基本的に画像データなので、文字が小さくて見えない場合は拡大することになる。
しかしReaderはページを拡大して、移動させながら見るという読み方が得意ではない。iPhone/iPadでは文字が小さくてもピンチアウト操作ですぐに読みやすくできるが、Readerでは拡大ボタンを押し、ズームスライダーを動かすといった操作になる。拡大したページを移動するのもあまりスムーズではない。
ということで、そもそも拡大しないで読めるサイズの本──すなわち文庫本のみを取り込むようにした方がいい。最近では文庫サイズのマンガもあるので、読むモノには困らないはず(価格も普通の本に比べて安いし)。筆者的には、昔買った岩波文庫やちくま文庫あたりをReaderにまとめられたら幸せになれる!……と妄想している感じです。
これからReaderを買う人は、端末選びも重要だ。Readerは、5/6型という2種類のサイズが用意されている。iPhone(3.5型)/iPad(9.7型)や、GALAPAGOSの5.5/10.8型に比べるとサイズ差が小さいが、こと自炊した文庫本を読むとなると見え方が微妙に違う。
見やすさと大容量を重視するなら、6型モデルをお勧めしたい。画面サイズが文庫本に近いので文字も読みやすい。6型モデルのみ、SDメモリーカード/メモリースティックPROデュオのカードスロットが用意されているので、例えば、自炊した書籍をジャンルや出版社で分けて別々のカードに保存しておき、必要に応じて差し替えるという使い方を実現できる。
電車の中で読むのが主な使い方なら、5型モデルをプッシュしたい。6型モデルより一回り小さく、スーツやジーパンのポケットにすっぽり入れて持ち運べる(Vaio Pのように無理をしてポケットに入れなくてもOK!)。ただし、自炊した文庫を表示すると、一見して文字が小さいと感じるので、老眼の方はちょっと厳しいかもしれない。
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