電子書籍の普及に伴って台頭してきた「スキャン代行サービス」。この代行サービスを取り扱う短期連載の第2回は、実際に各業者に発注し、サービスの内容を具体的に検証する。
前回の記事「スキャン代行サービスの現状と内容比較」では、スキャン代行サービスの現状についてお届けした。各社のサービスの概要はサイトの説明ページを読めばおおむね理解できるものの、実際の納品物のクオリティ、および各業者の対応の詳細は、やはり実際に発注してみないと分からないところが多い。
このため今回は、同一の組み合わせパターンとなる書籍を用意し、各業者にほぼ同じ内容で発注を行い、サービス内容の検証を行った。あくまで一例ではあるが、参考にしてほしい。本企画では全部で7社の業者に依頼を行ったが、今回はまず4社、次回で残る3社について、検証結果をお届けしたい。
なお、前回も触れたとおり、スキャン代行サービスは著作権法30条1項にある「その使用する者が複製することができる」という内容から、著作権侵害のリスクを有していることを付け加えておく。連載では、著作権法あるいは立法の観点からみたスキャン代行サービスについても取り上げる。
最初に、発注に当たっての条件をざっと記しておく。
今回は各社の対応および納品物のクオリティ比較が主目的なので、各業者に送付する書籍は同一の組み合わせで、冊子の違いやコンディションによる差が出ないようにする。書籍は計5冊で、その内訳は単行本2冊、コンビニ仕様のマンガ単行本1冊、写真集1冊、絵本1冊となっている。
業者によっては一部冊子に非対応の場合もあったが、対応を見る意味合いもあり、原則としてそのまま送付している。業者のうち最低受付数が10冊からとなっている2社については、今回の評価とは無関係な5冊をプラスしている。
特に注釈がない場合、申し込み内容は以下の通りとしているが、プランにこれらの選択肢がない場合は異なる場合がある。
カバーや帯、しおりなどの付属物は、「事前に取り除いてください」という明確な指示がある場合はそれに従い、単にスキャン対象外としているだけであればそのまま添付している。具体的には、単行本にしおり1枚、写真集にポストカード1枚とハガキ1枚、DVD1枚が添付になっているほか、単行本2冊と写真集にカバーや帯がある。しおりやハガキを挟み込むページはすべて統一しており、またページの折れ/破れについても同一書籍の同一ページに対して施している。入金や発送のタイミングは原則として各業者の指示に従い、当方事情で遅延した日数分は後述の「中○日」から省いて記載している。
依頼を行ったスキャン代行業者7社のうち5社は、事前にリストアップした約40社の中から個人事業主を除いた「株式会社・有限会社・合資会社」のうち、納期の目安がホームページ上に明示してあることを条件に、サービス内容など幾つかの情報を総合的に判断した上で選定した。申し込みから納品までのプロセス、および納品物の品質を比較するのが目的なので、各業者の地域性は考慮していない。残る2社についてはこうした条件とは無関係に、知名度優先で選んでいる。詳しくは次回で言及する。
なお以下では、裁断およびスキャンにまつわる費用を「基本料金」と表記している。各社ごとの項目名とは異なる場合があるので、あらかじめご了承いただきたい。また以下の4社はすべて10月18日に依頼しており、サービス内容もその時点の内容であるため、現時点ではサービス内容が変更になっている可能性もある。なお、今回、書籍の発着は都内から行っており、他地域から申し込んだ場合は送料が異なる場合もある。
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