ガツンとした骨太のネーミングをあえて採用した――シャープ「GALAPAGOS」断絶はしない、進化する端末

シャープが電子書籍端末「GALAPAGOS」を12月に投入する。そのネーミングはどのように決まったのかなど、気になるところを関係者に聞いた。

» 2010年09月27日 23時23分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

スマートさやセンスのよさよりも、骨太なネーミングが必要と判断

シャープが放つ新タブレット端末「GALAPAGOS」

 シャープが「次世代XMDFフォーマット」を採用した電子書籍端末を12月にリリースする。その新ブランド名が「GALAPAGOS」(ガラパゴス)と聞いて、最新ケータイに詳しい人ほど驚くはずだ。

 「マスコミのみなさんには、ガラパゴスという言葉にネガティブな印象を持っているかたもいらっしゃるかと思います。今回、新ブランド名についてはいくつか候補がありました。もっとセンスがよく、かっこいい言葉もありました。ただ、最終に残った3案を一般ユーザーに調査したところ、スマートさには欠けるが、独創性を感じるという点で評価が高かったのがGALAPAGOSだったのです」と、同社 オンリーワン商品・デザイン本部長 岡田圭子氏は説明する。「そもそも、一般のみなさんはガラパゴスがどうかとかは考えていなし、ネーミングの考え方として、スマートさやセンスのよさよりも骨太のネーミングがそろそろ必要な時期に来ているのではないかと感じていました。そこで、ガツンとしたインパクトのあるネーミングであるGALAPAGOSを採用したのです」と述べた。

 今回の発表会では、プレゼンテーションの資料で進化論を唱えたダーウィンの言葉が引用された。「生き残る種というのは、最も強いものでもなければ、知的なものでもない。最も変化に適応できる種である」というのがそれで、同社はGALAPAGOSという言葉を、変化に敏感に対応していく“進化”の象徴としてとらえているという。

オンリーワン商品・デザイン本部長 岡田圭子氏
発表会でのスライド。ダーウィンの言葉が引用された
GALAPAGOSのロゴ。当面は、“進化する”という言葉とセットになるという

既存のXMDFをコンテンツは一部継続利用が可能

 もう1つ気になったのは、既存のXMDFフォーマットコンテンツの行方だ。これについては、シャープの電子書籍サイト「SpaceTown ブックス」から購入したコンテンツについては、携帯電話などの場合を除き、PC用の専用アプリケーション「GALAPAGOS Station」を経由することでGALAPAGOSでも利用できる予定だという。既存のSpaceTown ブックスの会員IDはひも付かない(GALAPAGOS向け新ストアは新規にIDが必要)が、これまでに購入したコンテンツが無駄にならないのは素直にうれしいところだ。

タブレット端末の愛称であり、同時にクラウドメディア事業名でもあるGALAPAGOSは、同社の液晶搭載デバイスに続々と展開/連携していくという
電子書籍のページをめくるエフェクト設定画面。製品版では変更される可能性があるが、画面をなぞるほかにタップでページめくりを行える
書籍表示画面では、フォントの種類やルビの表示、表示色などのカスタマイズが可能だ

 同社が「新しい書籍体験を第1弾として提供していく」というように、12月のリリースでは電子書籍リーダーとWebブラウザ、SNS対応アプリケーションのみの搭載予定となっているが、来年春ごろをめどにゲームや音楽の配信なども計画している。当初は自社製アプリケーションのみで、Androidマーケットには対応しないが、今後のソフトウェアアップデートで強化(ただし、優先するのはサービスと連動したアプリケーションの開発)していく予定と、まだまだ荒削りで正式なサービス内容が分からないのはもどかしいところだ。しかし、コンテンツの制作からオーサリング、配信システムから端末まで、End to Endで安価にきちんとした日本語の表記を提供していきたい、そしてそれを標準化して提案していきたいという同社の意気込みが、どのように具体化していくのか、今後の動向が気になるところだ。

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